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2011年11月14日 月曜日

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生来の歪んだ体に、引きずって歩く足。
だが知略に富み、機を見るに敏な男。
城内から終盤の戦場まで、各所の空間を
広く上手に使う撮り方が、舞台人らしい。

これだけ恵まれないと笑うしかないな、と言っている本人も実は他者の痛みなどまるで感じてない、という逆説的な物語。
冒頭、リチャードが冠を召使に預け、召使が落っことすところ。場面の変わり目でさりげないのですが、いきなり笑ってしまいました。

シェイクスピア劇って台詞の量が多く、一歩間違うと会話ばかりになり、観る側を飽きさせてしまいます。オリヴィエもそこはよ~く知っていて、映画用に台詞を、可能な限り削り、あるいは順序を入替え、空間や表情、そして心地よい沈黙とも言うべき間をうま~く織り込んでいる。
「敵役であり主人公でもあり道化でもある恵まれた役」、とはオリヴィエ自身のリチャード評。
終盤には、屋外ロケへ。それまでの城内中心の密室劇から、実に広広とした空間に移る、こういったところに垣間見られる、空間の広がりの上手な使い方、舞台人の彼っぽい特色です。
ボズワースの戦い。葬られた者達の亡霊、有名な「Despair and die」の場面、そしてヘンリィⅤを思い出させる野戦シーンへ、やはり躍動感があります。遠近感の使い方が巧い、奥行きを感じさせる。

「ヘンリィ」では英雄だったオリヴィエは本作では、まさに正反対のリチャード。同じ暴君でもマクベスと違うところは、罪の意識がなく、笑いを誘うほど滑稽で、ひたすら三枚目なところ。知略に富み、機を見るに敏、マクベス夫人的伴侶もいない、人から愛されない。芯まで悪。散り際も悪党らしく因果応報、実に清々しいほどの格好悪さ(笑)。なるほど、一流の俳優が皆、演じたがるわけです!愛すべき異形の悪党、ここに極まれり。

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2011年11月14日 月曜日

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最初の1時間はあっという間です。この上
なく美しい台詞の響き。あえて白黒で作り
上げたオリヴィエのこだわり。色彩がない分、
観る側の想像力を無限に掻き立てる。

最初の1時間、つまり亡き父親の亡霊にハムレットが出会うところまで、何時の間にか時間が経ってしまう、というのが私の経験です。
シェイクスピア劇が好きな方必見。
台詞の響きが非常に美しいので、英語の魅力を再発見する事でしょう。
英国人にとってシェイクスピアとは観るものと言うよりは聴くものであったというのもうなづける。私が心から英語を好きになったのも、シェイクスピア映画があったからに他ならない。
20世紀の代表的(私個人的には最高の!)英俳優オリヴィエ、何度も舞台で上演した計算された演技。この作品で、イギリス人にも関わらず、アメリカのアカデミー賞を獲得。彼は米国演劇人からのリスペクトも非常に高かった。

私が言うのも僭越ですが、この題材を、当時テクニカラー技術があったにも関わらず、あえて白黒で作り上げたオリヴィエの判断は、正解だったと思います。亡き父の亡霊の場面の寒々しさ、宮殿内の寂しげな雰囲気、絶壁や暗闇でのハムレットの独白など、とてもマッチしていて、色彩がない分、観る側の想像力を無限に掻き立てる。格調高き彫刻のよう。

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2011年11月14日 月曜日

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この映画から感じられる、愛国心、物語へ
の愛、人物への愛。第二次大戦当時、政府の
依頼を受けて製作した国威高揚作品にして、
遊び心もあり、芸術性も高い。100回は観た!

オリヴィエにとって、最初の監督作にして、私個人的に彼の最高傑作と思う作品(そう言う方、結構多いです)。この映画から感じられる、愛国心、演劇への愛、人物への愛。そして、作中随所に散りばめられた粋な工夫や試み、そして遊び心。実に後味の良い、観終えて気持ちの良い映画です。
この映画は、私が演劇に夢中になって行くきっかけでした!

本作は、1944年製作、つまり第二次大戦が終息してゆく時期に、当時ナチスの脅威と何とか渡りあった英国で、英国政府の支援を受け、戦意高揚、あるいは国家の一致団結を意図して作られたものです。この当時の英国の精神の高まり、感じますよね。ちなみに同じ時期に米国では「我等の生涯の最良の年(The Best Years of Our Lives)」という、やはり帰還軍人を扱った映画が作られています。

国威高揚映画という側面を持ちつつも、とても芸術的で、自戒的要素も持つとっても人間的な、そして鼓舞する場面など魂に訴えかける力強さを持つ素晴らしさ!
英国映画史に残る宝物。

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